先日、元浜町にある
平野美術館へ「蘭字」を観に行ってきました。
パンフレットによると、「蘭字」とは1950年代まで輸出茶につける商標のことで中国語由来のものだそうです。
なぜ「蘭字」が存在したか、パンフレットにはこんな感じで書かれています。
幕末から明治にかけ、日本と海外との貿易が始まったときの主な交易品は生糸と茶でした。
輸出品には木版多色刷りの商標ラベルがつけられましたが、当時これを作っていたのは江戸時代から庶民の印刷文化を担った浮世絵作成工房です。
商品にラベルを付けることは外国商館の必要から出たものですが、外国に日本を印象づけるデザイン、技術、システムを浮世絵制作者たちがもち、新しい目的の印刷物に対応できる力があったのです。
輸出ラベルは外国商館員と日本人による国際デザインプロジェクトが創ったといえます。
茶ラベルは大型なので、輸出先一般消費者の目に入り易く、19世紀後半の欧米で人気があり、日本ブームのきっかけとなりました。
以上、パンフレットより抜粋。
前のブログの写真のポスターを見て頂くとわかるのですが、「輸出茶ラベル」となっていたので、私が普段仕事で作成している大きさのラベル、そうですね〜、大きくて10cm×10cm程度の大きさかな?なんて思っていたら約40cm×40cmと大きなものだったのでちょっとびっくりしました。
粘着紙に印刷するのではなく、紙に印刷した後に糊を塗って貼付していたようです。
そういえば粘着紙に印刷する方式が生まれたのは日が浅く、50年程度前と聞いた気がします。
商標ラベルの印刷原理は「木版画」です。
この商標ラベルが出来るまでには、クライアントがいて、クライアント要望を絵にするデザイナーがいて、版を作る「彫り師」(彫刻刀で木の板を彫るのでこう呼ばれる)がいて、印刷を仕上げる「摺り師」(版画ってバレンを使って紙を摺りますよね。そのため刷り、ではなく摺り、です)がいて、初めてカタチとなります。
浮世絵が発達した江戸時代からこういった工程があったのですが、正直現在の印刷工程もほとんど変わってません。
もちろんデジタル化が進んでる部分はありますが、根っこの部分は同じです。
じっくり観てきましたが、昔の印刷文化って「粋」だったんですね〜
100年以上前の印刷物から、作り手の気合いが感じられました。
今はどうなんでしょう?
皆さんのお手元にある印刷物に気合い、粋、感じますか?